このページでは、高次脳機能障害認定における3つのポイントをご紹介いたします。
1 早い時期に弁護士の協力を得ること
高次脳機能障害の等級認定では、必要な時期に必要な検査を受けることが重要になってきます。
また、等級認定にとって有益な情報を集めるためには、早い時期から様々な事情を精査することが重要になります。
例えば、等級認定の提出書類の中には、被害者のご家族や介護の方などが記載する「日常生活状況報告」という書類があります。
そこでは、ご家族等から見た被害者の生活状況を、こと細かく報告しなければなりません。
したがって、何が重要な事情なのかを十分に理解していないと、大切な事情を見落としてしまうことにもなりかねません。
そのようなことがないよう、事実認定や証拠の収集一般について高い専門的知見を有する弁護士の支援が必要となるのです。
2 治療経過を把握すること
高次脳機能障害の等級認定では、CTやMRIなどによる脳の画像所見が必要とされています。
また、JCSやGCSなどの特別な測定が重要となります。
これらの必要な検査を適切な時期に実施するためには、現時点までの治療の経過をご自身で把握することが大切です。
しかしながら、短い診察時間だけでは、これまでになされてきた治療経過を被害者やそのご家族が十分に把握することは困難です。
難解な医学用語を理解することにも苦労するかもしれません。
また、医師からは、自賠責保険の等級認定に関する説明は通常なされません。
そこで、後遺障害の等級認定実務に精通した専門家である弁護士の支援を受け、等級認定実務の観点から、治療経過を適切に把握することが必要となるのです。
3 適切な後遺障害診断書を作成すること
後遺障害について、自賠責保険の等級認定を受けるためには、必要書類を作成して提出しなければなりません。
書類作成にあたっては、重要なポイントを押さえて適切な記載をしなければなりません。
不十分な内容ですと、実態とかけ離れた低い等級しか得られないといった事態にもなりかねないからです。
症状が明らかに認められる場合であっても、書類が不十分であれば、等級認定も不十分な内容で認定されてしまうのです。
そのようなことがないよう、等級認定の書類作成に精通した専門家である弁護士の支援を受けることが必要となるのです。
高次脳機能障害の審査対象
自賠責保険では、脳外傷による高次脳機能障害は見落とされやすいとの前提のもと、高次脳機能障害として審査するかどうかの選定の際し考慮すべき条件が掲げられています。
そのポイントは、①初診時の頭部外傷の診断や頭部画像所見としての頭蓋内病変があるかどうか、②頭部外傷後の意識障害の有無、程度及び持続時間、③経過中や症状固定時の診断の有無、④症状の経過の中に高次脳機能障害を示唆する具体的な症状があるかどうか、⑤脳室拡大や脳萎縮の有無などです。
なお、これらは、あくまでも審査対象事案を選定するための要件であり、高次脳機能障害の判定基準そのものではありません。