有頭骨とは、中指の中手骨の真下にある手根骨の1つで、右手では有鈎骨の左横に位置しています。
交通事故では、転倒した際に手をつく、あるいは、直接の打撲で骨折することが多く、自転車やバイクの事故で複数例を経験しています。
有頭骨の骨折では、手首の可動域制限と運動時の疼痛を残すことが予想されます。
有頭骨骨折における後遺障害のキモ
- 早期に、画像で立証された確定診断に漕ぎ着けること
- 近年、手根骨の骨折に対しては、積極的に手術による固定が実施されています。
手根骨は8つの骨で構成されているのですが、交通事故では、舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨、有鉤骨、有頭骨で骨折が多発しています。
これらの複数が骨折・脱臼していることもあります。
被害者よりは、激痛の訴えがなされることが少なく、XPでは確認しにくいのを特徴としています。
訴えに乏しく、初診のXPで確認されないまま、3、4カ月が経過すると、その後に骨折が発見されても、損保料率機構調査事務所は本件事故との因果関係を疑い、これを被害者側で立 証できないときは、骨折が認められているのに、非該当となり、泣いても泣ききれない立場に陥ります。
見逃さないようにするには、早期、受傷2か月以内に、手の外科専門医を探し出して、受診しなければなりません。
専門医であれば、CT、MRIを駆使し、手根骨の骨折、脱臼の確定診断が可能です。
参考までに、日本手外科学会のホームページでは、全国の専門医が紹介されています。
日本手外科学会のホームページ
しかし、骨折の形状、合併症状から、手術でどこまで改善するのかを検証しておく必要があります。
固定術を受けた結果、手関節の可動域が背屈60°掌屈80°となれば、運動制限による支障が認められるのに、4分の3を超えており、機能障害としての12級6号は非該当になります。
骨折部の変形癒合を立証し、痛みを訴えても、神経症状で14級9号がやっとです。
3DCT画像、症状と支障の実態を検証した上で、症状固定を優先させることも十分予想されます。
医師では想定できない領域で、ここが後遺障害の奥の深いところです。