亡くなられた方の人生は、その方のためにも適正に評価されなければなりません。
死亡事故で問題になる「逸失利益」とは、交通事故の被害者が亡くなられた場合、死亡した被害者がもし生存していれば得られたであろう収入の推計のことです。
例えば40歳の男性サラリーマンの場合、67歳までの残り27年間で得られたであろう収入の推計が逸失利益となります。
死亡事故による逸失利益の計算方法は、次のとおりです。
逸失利益 = 基礎収入 ×(1-生活費控除率)×(就労可能年数に対応するライプニッツ係数)
1 基礎収入
死亡事故の逸失利益の計算における基礎収入は、職業によって異なります。
① 給与所得者(サラリーマンなど)
原則として、事故前の現実の税込み収入額(本給、諸手当、賞与、昇給、退職金)により算定します。
② 事業所得者(自営業者など)
原則として、事故前の収入額、または事業収入中に占める本人の寄与分により算定します。
③ 家事従事者(主婦・主夫など)
原則として、男女を問わず、賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金により算定ます。
賃金センサスとは、国の賃金に関する統計(賃金構造基本統計調査)のことです。これにより被害者の平均賃金を算定します。
④ 幼児・学生など
原則として、次のように算定します。
- 男子は男性労働者の全年齢平均賃金。
- 年少女性は、全労働者(男女計)の全年齢平均賃金。
- その他の女性は女性労働者の全年齢平均賃金。
⑤ 高齢者・年金受給者など
年金収入・恩給収入が逸失利益であると認められることもあります。
⑥ 無職者
原則として、賃金センサスの平均賃金または失職前の収入実績
まとめ
以上のようにして基礎収入を算定するわけですが、被害者と加害者・保険会社との間でその額について争いがある場合が少なくありません。実際よりも低い基礎収入で計算されたがくの賠償しか認めようとしないことも多いです。適正な賠償を獲得するために、ぜひ当事務所にご相談ください。
2 生活費の控除率
死亡によりかからなくなる生活費が控除されます。
被害者の方の性別等により以下のように控除されます。
- 一家の支柱:30~40%を収入額より控除
- 女子(主婦・独身・幼児を含む):30~40%を収入額より控除
- 男子(独身・幼児を含む):50%を収入額より控除
3 就労可能年数に対するライプニッツ係数
原則として、67歳までを就労可能年数とします。開業医・弁護士については70歳までとされる場合もあります。
中間利息は、年5%の割合で控除されます。